呼吸器疾患に関する説明

間質性肺炎

間質性肺炎とは

語尾に「肺炎」とある病名ですが、通常の細菌による肺炎とは全く異なる疾患です。肺は体の中に酸素を取り込む働きをしている臓器ですが、「間質性肺炎」を発症すると肺に炎症や線維化が起こり、酸素を体内に取り込む機能が低下していきます。

間質性肺炎の症状

症状は痰を伴わない乾いた咳や呼吸困難などですが、軽度のものでは無症状のこともよくあります。日常生活で呼吸困難を自覚するようになるのは病態がかなり進行してからになります。

診断のための検査など

病気の診断のためには、理学的所見、臨床検査、場合によっては病理学的検査が行われます。聴診音では捻髪音が聞かれることが多く、臨床検査では胸部レントゲン、CT、血液検査、呼吸機能検査、気管支鏡検査などが行われます。さらに必要であれば肺の一部を検査目的に採取する「肺生検」が行われる場合もあります。

進行のしかた

間質性肺炎にはいくつかタイプがあり、進行のスピードもそれぞれ異なります。数週のうちに急速に悪化するものもあれば、数年かけてゆっくり進行していくものもあります。治療によって改善するものもありますが,有効な治療がない場合もあります。

原因

この病気の原因も患者さんごとに異なります。関節リウマチなどの自己免疫性疾患が原因である場合や薬剤が原因である場合もありますが、特に原因がなく発症する「特発性間質性肺炎」である場合もあります。

治療

治療は炎症を抑える目的で「ステロイドホルモン」や「免疫抑制剤」などが使用されることが多いです。どの程度効果が期待できるかについては、間質性肺炎のタイプによっても異なります。ただ効果的であった場合でも、治療は数年~数十年に渡る場合も多く長期間の管理が必要となることが多いです。間質性肺炎のなかでも、「肺線維症」と呼ばれるタイプには線維化を抑える内服薬である「ピルフェニドン」、「ニンテダニブ」が病状のコントロールに有効である場合もあります。

急性増悪

間質性肺炎の方は、急激に病勢が悪化し致命的となるケースもある「急性増悪」が運悪く起こってしまうことがあります。症状としては急な発熱、呼吸困難などです。原疾患の病勢や感染症などがきっかけとなることもります。緊急的にステロイド大量療法などが行わることが多いです。