視床下部過誤腫センター

ブラジルの少年無事に帰国

まさご通信No.1(2011年1月)より

 

昨年,11月1日から,てんかんの外科治療のために,ブラジルからはるばる当院まで来て入院していたエンヒコ君(5歳)が,無事手術を終えててんかん発作も消失し,11月29日に退院しました.脳神経外科の増田浩医長,村上博淳医師をはじめ,第1病棟の看護師さん,保育士さん,関係職員には大変良くサポートをしていただきました.皆さんに感謝したいと思っています。

7月に突然届いたFAXには,笑い発作を出す視床下部過誤腫をもった子どもがいるので,手術をしてほしいと書かれておりました.すぐにメールを送り,当センターではすでに42例の視床下部過誤腫の手術をしていて,約80%が発作消失に至っていること,永久的な合併症は1例も経験していないことを伝えました. 7-8回のメールのやりとりをし,11月1日入院の予定としました.それから,ポルトガル語の通訳さんを探すのに苦労しましたが,幸い日系の女性で法廷通訳も務める方が見つかりました。

入院後は,行動異常もあり,病棟ではなかなか意志が通じない,検査の時間が守られない,食事が合わないなどスタッフも通訳さんも忍耐と苦労の連続だったようです.「こんなに苦労した通訳は初めてでした.」とおっしゃっていました.何とか検査も終了し,12日に当院で開発した定位温熱凝固術を行いました.手術の2日前から主治医の小児科の女医さんが是非手術を見学したいと日本にやって来ていて,通訳の方と手術室に入りました.あらかじめ私の英文論文を送ってありましたので論文通りに手術が精細に行われることに感激していました.術後は,視床下部過誤腫は十分に凝固され笑い発作は消失しました.十分な食事がとれなかったためもあり,低ナトリウム血症になって1週間入院が伸びました.行動異常もかなり軽減されたようです.退院のときには「ありがとう」という言葉は言えるようになっていました。

最後に通訳の方からのメールを紹介します.「駅で電車を3分遅らせる騒ぎを最後にやってくれ・・・注目の的になってしまいました.しかし,いつものように何も気にせず,何事もないかのようにしながら帰って行きました.・・・」今回のような貴重な経験をできたことは当院にとっても大きな財産になったと思います.これからも外国の患者さんを視床下部過誤腫センターで受け入れていきたいと思っています.

(院長 亀山茂樹)

ブラジルの少年と