てんかんセンター

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難治てんかん患者のMRIは約80%が異常を認めるという報告があります.一般的に明らかな脳異常があると難治性(薬がききにくい)になりやすい傾向がありますが,MRIで異常がわからなくても難治性の場合があります.

MRIはてんかん診断において欠かせない検査であり,MRIの進歩がてんかんの外科治療の原動力の一つになっていることを疑う人はいません.西新潟中央病院てんかんセンターでは,初めての診察の時に脳波とMRIの検査をルーチンに行うようにしています. MRIのほかに,最近では脳磁図やSPECT(スペクト:脳血流検査)がてんかん焦点(てんかんの発生源)を明らかにできるようになり,てんかんの重要な診断機器として注目されています.古い時代はてんかんがとらえどころのない怖いもののように考えられてきました.現代では{てんかんを見る}ことが可能になりました.自験例の中から興味ある症例のMR画像や脳磁図,SPECT画像などで{てんかんを見えるかたち}にしてご覧いただきます.

Ⅰ.Brain tumors (脳腫瘍)

1.Dysembryoplastic neuroepithelial tumor (D.N.T.)

DNTは最近難治てんかんの原因として注目されている良性の脳腫瘍です.まだ和名がついていません.脳回構造が保たれる傾向があります.10年以上画像変化のない症例があります.嚢胞やガドリニウム増強を伴うこともあります.

D.N.T.1 D.N.T.2

2.Hypothalamic hamartoma(視床下部過誤腫)

笑い発作を見たら視床下部過誤腫を考えると言うくらいです.ホルモン異常は負荷試験で高反応になることがある程度です.当院ではすでに100例以上に定位脳手術でRF凝固術を行って発作を消失させています.

Hypothalamic hamartoma(視床下部過誤腫) Hypothalamic hamartoma(視床下部過誤腫)

3.Ganglioglioma(ガングリオグリオーマ,神経節神経膠腫)

症例はてんかん発症後20年以上画像診断がなされずに当院で脳腫瘍の診断がつき,手術後発作は完全に消失して薬物治療も中止しています.難治てんかんになりやすい脳腫瘍です.

4.Astrocytoma(アストロサイトーマ星細胞腫)

これは良性の脳腫瘍の代表格ですが,難治てんかん患者で発見される場合はより経過が長く術後の再発がない例が多いようです.

 

5.Oligoastrocytoma(オリゴアストロサイトーマ・乏突起星細胞腫)

この症例では近接する海馬を温存して全摘出しています.MIB1が10を越え局所照射を行いましたが3年以上再発を認めていません.

6.Pleomorphic xanthoastrocytoma(P.X.A)(多形性黄色星細胞腫)

難治てんかんの原因となりやすい珍しい脳腫瘍で側頭葉に多いものです.嚢胞形成ガドリニウム増強が特徴です.

 

7.Ependymoma(上衣細胞腫)

前頭葉内にできた小児の非常にまれな脳腫瘍です.

8.Metastatic brain tumor(転移性脳腫瘍)

転移性脳腫瘍はまれではありません.てんかんでその存在が気づかれることがあります.肺ガン,乳ガン,腎ガンなどが脳に転移しやすいものです.

 

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Ⅱ.Cortical developemental malformations(脳皮質形成異常)

1.Agyria (type I lissencephaly)(滑脳症)

染色体異常(17番短腕の欠失)による脳形成異常でてんかんや知能障害を伴います.脳のシワがほとんど形成されないことから滑脳症と名付けられています.脳皮質が正常の6層構造ではなく,4層構造で皮質の厚さが際だっていることがわかります.

 

2.Band heterotopia (double cortex syndrome)(帯状異所性灰白質,二重皮質症候群)

神経遊走障害の一つで,脳皮質が2重構造になっています.二人とも女性例でてんかんと知的障害があります.SPECTでみると内側の皮質も外側の皮質同様の血流量を示します.

 

3.Pachygyria(厚脳回症)

局所的な脳のシワの異常が明らかです,局所的な例から広範に認められる例までいろいろです.

 

4.Hemimegalencephaly(片側巨脳症)

ただ片側半球が大きいだけでなく,白質のグリオーシスを伴っていることがほとんどです.

 

5.Subependymal heterotopia(上衣下異所性灰白質)

典型的な神経遊走障害のタイプで当院ではこのような両側性の例が13例登録されていますが,すべて女性例です.性染色体が関係し男性例では致死的になると考えられています.Filamin1 geneの異常が同定されています.

 

6.Periventricular nodular heterotopia(脳室周囲結節性異所性灰白質)

このタイプの神経遊走障害は男性例女性例を経験しています.ほとんど側脳室三角部の後ろにあり,脳梁膨大部の欠損を伴ったりします.手術例3例のてんかん発作は内側側頭葉てんかんで異所性灰白質はてんかん原性を持っていません.

 

7.Perisylvian syndrome(傍シルビウス裂症候群)

両側性の場合は仮性球麻痺を来したりすると言われています.

 

8.Polymicrogyria(多小脳回症)

傍シルビウス裂症候群の一部と考えれます.難治てんかんの原因となりやすく片麻痺を伴っている場合が多く見られます.

 

9.Focal cortical dysplasia(限局性皮質形成異常)

限局性皮質形成異常はパルミニの分類でタイプIa,Ib,IIa,IIbとありますが,タイプIIaは圧倒的に前頭葉に多く認められ桁違いの発作頻度を示します.下段の症例はMRIの矢状断と脳磁図の立体画像を並べました.黄色い点の集積がてんかん原(焦点)を表しています.青い点は感覚野を示します.限局性皮質形成異常そのものが強いてんかん原性をもっておりその全摘出で発作は完全に消失しています.

  

10.Microcephalus(小頭症)

 

11.Ulegyria; Subcortical leukomalacia(瘢痕回;皮質下白質軟化)

出生前の脳虚血の結果を示すと考えられていますが,その原因はなかなか特定できません.これらの異常そのものがてんかんの原因の場合とそうでない場合がありますので注意が必要です.

 

12.Arachnoid cyst(くも膜嚢胞)

この異常も脳皮質の形成時期に生じたものですが,てんかんそのものと必ずしも関係するものではありません.

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Ⅲ.Neurocutaneous syndrome(神経皮膚症候群)

1.Sturge-Weber syndrome(スタージ・ウエーバー症候群)

片側大脳半球の後半部に起こりやすい血管奇形(腫)です.同側の顔面にも血管腫を伴う場合があります.下段の症例のように血管腫の部分はむしろ血流低下が著明です.

    

2.Tuberous sclerosis(結節性硬化症)

多発性の皮質・皮質下結節が認められます.このような多発性病変をもつてんかんではどこがてんかんを引き起こしているのか診断が困難ですが,下段の症例のように,脳磁図では頭頂葉のものが焦点になっていることを示していますし,発作時SPECT(中央)でも頭頂葉が高潅流を示しています.この部分の皮質を切除して発作は消失しています

   

3.Hypomelanosis of Ito(伊藤母斑症)

体幹にある白斑と同様のものが脳内にあると考えられています.それが非常に強いてんかん原性を持つとされています.

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Ⅳ.Mesial temporal lobe epilepsy syndrome (内側側頭葉てんかん症候群)

1.Hippocampal sclerosis and atrophy(海馬硬化と海馬萎縮)

内側側頭葉てんかんでは海馬の長軸に一致するように撮像すると海馬萎縮と硬化像(左のように白っぽく見えます).

 

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Ⅴ.Brain injury(脳外傷)

1.Cerebral contusion(脳挫傷)

脳挫傷による外傷性てんかんも難治てんかんの一つです.前頭葉や側頭葉に多く見られます.

  

2.Acute subdural hematoma(急性硬膜下血腫)

両症例とも生後1歳時に転倒して急性硬膜下血腫を生じた後難治てんかんになったものです.半球性の強い障害が認められます.傷んだ脳皮質がてんかん源となっており,広範囲の切除で発作が消失しています.

 

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Ⅵ.Vascular malformation(脳血管奇形)

1.Cavernous malformation(海綿状血管腫)

海綿状血管腫も難治てんかんの原因の一つです.海綿状血管腫をもつ患者の1/4がてんかんで発症します.2/4は出血で発症するとされています.海綿状血管腫そのものの単純摘出でてんかん発作は消失します

 

2.Arterioveous malformation(脳動静脈奇形)

脳動静脈奇形も出血で発症することが圧倒的ですが,てんかんで発症することもあります.血管内手術,摘出術,ガンマーナイフ治療などいろいろの治療オプションが考えられます.

  

3.Venous malformation(静脈奇形)

静脈性奇形は,海綿状血管腫に比して巨大出血になることがあります.

4.Moyamoya disease(もやもや病)

もやもや病の一過性脳虚血発作がてんかんと間違われることがあり,鑑別すべき疾患として載せました.

  

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Ⅶ.Vascular diseases(脳血管障害)

1.Cerebral infarction(脳梗塞)

皮質下脳梗塞はてんかん発作の原因になることがあります.

 

2.Intracerebral hematoma(脳出血)

皮質下出血ではてんかん発作を起こしやすい.T2強調画像で出血の痕跡であるヘモジデリンの存在が画像診断の決めてとなります.

 

3.Subarachnoid hemorrhage(くも膜下出血)

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Ⅷ.Infectious diseases(感染性疾患)

1.Brain abscess(脳膿瘍)

脳膿瘍は最近ではまれな発症となっているが,左は糖尿病に合併した多発性脳膿瘍でてんかんを発症して確定診断された.右はファローの4徴症に合併した脳膿瘍(3歳時のもの).

 

2.Meningitis(髄膜炎)

左は結核性髄膜炎(1歳時)症例,右は脳底部に強い髄膜炎を罹患した症例.

 

3.Encephalitis(脳炎)

 

4.Rusmussen's encephalitis(ラスムッセン脳炎)

この症例は右側頭葉てんかんとして海馬並びに側頭葉前部の切除術を施行し,てんかん発作は消失したが知的退行が認められるようになり,MRIで右頭頂・後頭葉の炎症所見を認めたため,ステロイド治療を開始し軽快しました.GluRε2が陽性でした.

  

5.Acute dessiminated encephalomyelitis (ADEM)(急性散在性脳脊髄炎)

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Ⅸ.Mitochondrial encephalomyopathies(ミトコンドリア脳筋症)

1.Mitochondrial encephalopathy, lactic acidosis, and stroke (MELAS)

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Ⅹ.Degenerative diseases(Progressive Myoclonic Epilepsy) (変性疾患)

1.DRPLA

 

2.Unverricht-Lundborg disease